活イカ

 「おぉ!これがイカの踊り食いか!」

 「すごい!こんなにイカが動くのね!」

 「今日活イカあるよね?」

居酒屋でバイトをしていたとき、これらの言葉をよく聞いた。お客さんの多くは、活イカの踊り食いを楽しみに来ている。イカは鮮度が落ちやすく、新鮮なものでなければ踊り食いはできない。イカは函館の名物商品である。訪れる観光客の多くは活イカを注文するため、すぐ完売してしまう。お客さんが喜んで食べる姿を見るのが、バイトをする中で一番の楽しみだ。

函館では、昔からイカ漁が盛んだった。周辺の海域で大量のイカを漁獲し、イカの踊り食いやイカの塩辛、スルメイカ、イカそうめんなど様々な調理方法で、イカ文化を発展させてきた。現在では、町のPR商品として、有名になった。イカをデザインしたマンホールや看板、毎年9月下旬から10月上旬に開催される「函館イカ祭り」など様々だ。

しかし、近年、全国規模で、イカの漁獲量が大幅に減少している。特に函館は大きなダメージを受けた。漁獲量が、この5年で約1/3以下になったのだ。その原因は現在でも特定できていない。実際に、スルメイカの生態については現在でも不明な点が多く、様々な研究が続けられている。その中でも、スルメイカは東シナ海沖の海域で産卵を行うが、海水の低温が続き、イカの子供が十分に成長できず、日本の近海まで到達できない考えが有力だ。また人為的な要因で、外国漁船や密猟などが行われている可能性もある。結果、イカの値段が高くなり、観光客の中には、高価格のため注文をやめるケースが増えている。またこの厳しい状況から、廃業する漁業者も増えている。

 イカの不漁に対し、函館市は新たな対策を行う必要があるのではだろうか。例えば、近年、北海ではブリが捕獲できる。暖かい海でしか取れないブリが、温暖化により、北海道にも進出してきているのだ。イカの不漁に代わり、ブリの豊作の傾向にある中、函館では「ブリフェス」という新たなイベントに取り組んでいる。今後、イカの町からブリの町へと変化し、新たな町おこしを出来るかもしれない。

函館ジャーナリズム

北海道教育大学 函館校の二年生による『地域プロジェクト』という活動の中で、函館市内のニュースをまとめました。

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