道南地域の未来、新たな政策で「前に」

 函館市の人口減少が進んでいる。2022年11月現在で同市の人口は約24万5000人で、北海道新幹線が開業した2016年の同時期に比べて、およそ2万人減と人口減少が勢いを増している。また、同市の年少人口は全体の9.1%となっており、同市の将来を支える若者が少ないことも懸念され、道南地域の衰退が始まりつつある。


 函館市の中心地とされる函館駅周辺、本町エリアには、大型ショッピングモールなどの複合型商業施設はなく、生活のしづらさが浮き彫りに出ている。同市にある複合型商業施設は、JR五稜郭駅付近にあるポールスター、湯の川地域にあるイオンモール湯の川店と、いずれも中心地からは遠い郊外にある。また、全国的に有名なフランチャイズ店も郊外にあるのが現状だ。これには地域が抱える大きな問題と密接に関係している。函館市の中心街は昔から地元商店街で賑わい、同市の経済を支えていた。しかし、時がたつにつれ衰退は深まり、今ではあまり見られなくなった。時代の変遷に合わせ、大型ショッピングモールの建設が促されるようになろうとしていたが、長年商売を続けてきた住民から反対の声が上がった。また、函館市をはじめとした道南地域の自治体もその声を守るようになった。「昔、函館市、北斗市、七飯町の3自治体で外部から地元経済を揺るがす組織が入らなくする地位協定が存在しました」こう語るのは、元松前町長で、衆議院議員を2期務めた自由民主党前田一男氏だ。前田氏は、函館市などの道南地域を拠点に「道南の衰退を止め、国を守り、経済を再生する」ことを目標に掲げる政治家である。実際、イオングループが七飯町の峠下地域に新店舗の建設を検討したところ、この地位協定の効力で白紙になった。

 函館をはじめとした道南地域では、チェーン店も郊外にできる傾向がある。2022年11月17日にオープンした「くら寿司」も産業通沿いと郊外に店を構えた。人口減少が進む同地域を活性化する手段に、大型ショッピングモールやチェーン店進出は大きな鍵だと同氏は語る。

ただ、進出とは言っても多くの住民にとってアクセスが良いところに店舗を構えることも重要となるだろう。 

(北山創一朗・横山智丈)

函館ジャーナリズム

北海道教育大学 函館校の二年生による『地域プロジェクト』という活動の中で、函館市内のニュースをまとめました。

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