アートで地域おこし 函館の学生がミツメる長万部
北海道新幹線の開通が近づき、各新幹線停車駅の町の期待が高まる。そんな中、停車駅の町の1つである「長万部」で地域の活性化を目指し、町をアートで表現する「ミツメカク」というプロジェクトが函館在住の学生を主体として、地域おこし協力隊と協力し行われている。
現在はシャッター商店街となりつつある長万部駅前で、5年前苦渋の決断で店を閉じたかつて唯一の書店が、ミツメカクの活動の場となった旧加藤書店だ。
「ここにいるとはどういうことか問いただしたい」
そう語るのは、現在北海道教育大学函館校在学の山鼻涼である。彼と現在同校を休学している伊藤碧とが、長万部という土地、そこに暮らす人々を「ミツメ」、それを壁画として「カク」というのがミツメカクの活動だ。
この壁画は「海を越え、何処までも続いていく線路、雑草や廃材、そして立ち尽くす人影」が描かれている。彼らは今は廃れた、海の町、鉄道の町である長万部をそのように表現した。タイトルは「長万部と人」。長万部の人々はこの土地に対し、どのようにあるのか、その問いに対する一つの答えがこの壁画である。「その場所から後に引き返すのか、海に身を投げるのか、それとも前に進んでいくのか」中央に描かれた人影について彼は語った。人影は半透明に描かれ、それは長万部の人々や彼ら自身を意味しているという。また、この先の活動については今のところ未定であるとのことだ。
6月28日に「ミツメカク」の壁画のお披露目会が関係者や地域の人達を集めて予定されている。そこでは、「長万部に対する誠意と感謝、長万部の人達がどう長万部のこれからを考えているかという問いを地域の人達と深めたい」と彼らは話している。
そしてミツメカクの活動に大きく関わったのが元地域おこし協力隊の佐藤理華さん(36)だ。地域おこし協力隊というのは地方でそこの住民と共に地域力の維持・強化を図る総務省のプロジェクトである。
山鼻達が長万部を活動の場として選んだのは、活動の協力者を募っていた彼女とアートの表現の場を探していた彼らとがマッチしたからだという。
彼女は幼少期の頃、祖父母が長万部で酪農営んでおり、その関係で「長万部にその恩返しをしたい」という思いでこの活動を始めた。
彼女はミツメカクの活動で学生達と関わり、「ローカルに興味を持つ若者がいるということがうれしく感じ、新たな長万部の魅力に気づいた人がいて予想以上の結果が出た」と話した。
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